東京池袋川柳会
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[第2回東京池袋川柳会誌上句会]
募集期間 2015.7.15〜2015.8.31
投句総数 353句
主 催 東京池袋川柳会
●題と選者
題 [ 充電 ] 辻直子 選
入 賞 | 入 賞 句 | 雅 号 |
特 選 | 「鬼平」を読み終え雨季を立ち上がる | 奈良 浩 |
秀 作 | 充電が切れてホントの僕になる | 長峯 雄平 |
抱き締める妻の背中が充電器 | 石橋 直樹 | |
ふるさとに抱かれて眠る二週間 | 古賀 由美子 | |
佳 作 | 窓際で準備進めるクーデター | 梶 政幸 |
充電はしないと決めて調子いい | 惠良 正巳 | |
晩酌にもらう明日のエネルギー | 田岡 弘 | |
ハンドルもスマホも離し一人旅 | 深谷 文喜 | |
敵であり味方でもある充電器 | 平井 煕 | |
缶ビール並ぶ姿はバッテリー | 宍戸 由味 | |
スキンヘッド実は太陽電池です | 佐々木 栄一 | |
腹ペコの電池ただいま食事中 | 岩嵜 誠治 | |
妻のナビ充電切れはいつだろう | 岡本 計枝 | |
老いらくの恋で若さをチャージする | 稲岡 俊一 |
●選評
特選句
[鬼平]
まず鬼平という具象があって駄目な自分を雨季と称し最後に立ちあがるでスカッとした気分にさせる
素晴らしい。
秀作
[充電が]
頑張り過ぎてる姿は相手にも負担です。自然体でガンバロウ!
[抱きしめる]
一心同体の妻に勝るものはなし。
[ふるさとに]
企業戦士でしょうか?何もかも忘れてぐっすり眠って下さい。
●題と選者
題 [ 充電 ] 佐道正 選
入 賞 | 入 賞 句 | 雅 号 |
特 選 | フル充電今日はたくさん話そうね | 須山 恵美 |
秀 作 | 充電も賞味期限も切れ気楽 | 宮尾 美明 |
窓際で準備進めるクーデター | 梶 政幸 | |
充電をしても動かぬ錆びた愛 | 岡田 弘子 | |
佳 作 | ストレスにぼんやりという充電器 | 柳谷 益弘 |
ふるさとの風を心に蓄える | 福島 敏朗 | |
泣いた日はあなたの胸が充電器 | 長峯 雄平 | |
それぞれに充電の場所持つ夫婦 | 青柳 婦美子 | |
うちの部下いつも充電しっぱなし | 西垣 力徳 | |
濡れ落ち葉趣味を見つけて天日干し | 上野 浩子 | |
充電をしてはどうかと肩叩き | 松永 智文 | |
ショートして終わったロングバケーション | 佐々木 恭司 | |
電力も作れると風自負を持つ | 吉川 勇 | |
枯れそうな時はひたすら映画観る | 井関 由香里 |
●総評
「充電」という題は、意味がある程度限定されて発想が拡がりにくいせいか、同想句・類想句がたくさん見られた。その中で選をするとなると、どうしても表現(プラスリズム)の巧拙が勝負ということになってしまう。発想の面白さで本当は選びたいところであるが、今回はなるほどと思わせる表現の上手い句が中心となった。また、そういう意味でも、少なからずあった中八・下六の句はどうしてもリズム感に欠け、結果的に全没となった。全353句より第一次選で49句に絞り、最終的に上記の選となった。14句には、同想・類想のある句もあったが、すべて作者の思いが伝わってくる句ばかりで、表現・リズムとも問題のない句ばかりであった。
●選評
特選句
[たくさん話そうね]
作者の思いがいっぱい詰まっており、心温まる思いで、直に共感できた。誰と話をされたかわからないが、きっと楽しい一日を過ごされたことだろう。
秀作
[充電も]
定年後の充電を詠った句はたくさんあったが、みんな充電のし過ぎを詠っている中、充電が切れたと詠ったのに目を引かれた。老境を嘆いたりカラ元気を出したりするのでなく、「気楽」と考える恬淡の境地に好感が持てた。「軽み」のある佳句である。
[窓際で]
窓際族が充電している句もいくつかあったが、この句は「クーデター」を持てきて、ドラマ性を出してきたのがよかった。逆境にいるサラリーマンの野心がよく捉えられている。同想から抜け出るにはこういった一ひねりが大切になってくるのだろう。
[充電を]
この句は「錆びた愛」が出色。夫婦も長くやっているとこうなってくるよと共感でしつつ、つい笑ってしまう。こういうひねくれた句も川柳の持ちの一つである。
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