東京池袋川柳会
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[第3回東京池袋川柳会誌上句会]
募集期間 2015.11.10〜2016.1.10
投句総数 724句
主 催 東京池袋川柳会
●題と選者
題 [ 味 ] 辻直子 選
入 賞 | 入 賞 句 | 雅 号 |
特 選 | 落ちてたら拾っておいてねほっぺたを | 井口 元美 |
秀 作 | 憲法の第九条を舐めてみる | 門脇 かずお |
縦皺が横じわになる酒を飲む | 吉川 勇 | |
味の無いガムを噛んでる老夫婦 | 小林 功 | |
佳 作 | 定年後やっといい味でた夫 | 田崎 信 |
いいもんだ味のある字の年賀状 | 石畝 秀隆 | |
駄菓子屋に昭和ロマンの味がする | 早雲 まち子 | |
祖母の味「けえってこい」と我を呼ぶ | 西戸 公香 | |
人間の群れに揉まれて来た丸み | 上池 三郎 | |
変化球投げぬ老舗が守る味 | 稲村 誠一郎 | |
人は皆味覚党です党首です | 藤木 光夫 | |
なりたいねひと味違ういい女 | 古賀 由美子 | |
真実に味付けをした武勇伝 | 岡野 満 | |
履歴書の隙間に生きた顔がある | 遠藤 一喜 |
●選評
特選句
発想の楽しさ、表現法抜群です。中八ですが気になりません。
秀作
[憲法の]
始めて我が事として九条を感じている姿がうかがえます。舐めてみるのがいいです。
[縦皺が]
縦皺、横じわの目のつけどころがいい。さぞやおいしいお酒だったのでしょう。
[味の無いガム]
味の無いガムで味気のない老いの淋しさを表現していて上手い。
●題と選者
題 [ 味 ] 植竹団扇 選
入 賞 | 入 賞 句 | 雅 号 |
特 選 | お袋の味ってなんだすっぱさか | あおきがく |
秀 作 | 男なんて芋とおんなじ煮ころがし | 吉川 勇 |
味の無いガムを噛んでる老夫婦 | 小林 功 | |
梅干しを口にふくんでにらめっこ | 富田 幸雄 | |
佳 作 | 逃げはせぬ私の料理食べたから | 葦乃原 光晴 |
おつな味傷テープ入りハンバーグ | 亀井 千代蔵 | |
逆さまに読ます屋台の隠し味 | 大釜 洋志 | |
スプーンの味の染み入るアイスクリン | 高橋 和 | |
岩塩は深い太古の味がする | 長峰 雄平 | |
小気味よいトライみてから初詣 | 猪口 和則 | |
変化球投げぬ老舗が守る味 | 福村 誠一郎 | |
味よりも色紙が自慢老舗店 | 石田 昇 | |
味探る舌の先にもあるエロス | 千田 康司 | |
姑に味見頼むと嬉しそう | 瀬尾 恵子 |
●選評
特選
「ひとが口が酸っぱくなるほど言ってもちっとも分からん」と、愚痴る傍らで「ちっとも分からんの、そりゃ馬鹿かも知れんね」と、伯母は混ぜっ返した。親の意見と茄子の花は…なんてことに気づくのは、酸いも甘いも噛み分ける年頃を待たねばならぬ。
秀作
男の料理なんて容易いもの。[芋の煮ころがし]のようなもんよ。煮ころがされて喜んでいる男の顔が見える。
味も色も香りも抜けて、残ったのは[ガム]そのものの味だけ。夫婦ともに同じ思いならば最高。
日本人に共通の認識を呼び起こさせる存在感のある[梅干し]を登場させて、見事なユーモア句。
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